
仕事がロボットに奪われる‼
そんなニュースを見て不安になったことはありませんか?
イーロン・マスク率いるテスラ社が開発する人型ロボット「Optimus(オプティマス)」の進化は凄まじい。
2025年のイベントでは、まるで人間のように動き、バーカウンターで接客する姿さえ披露された。
「単純作業はいずれ消滅する」というのは、もはやSFではなく現実のスケジュールになりつつある。



結論から言いましょう。
左官の仕事、特に「壁を塗る・仕上げる」という領域は、ロボットにとって最大の鬼門であり、当面の間は奪われることはないと断言します。
なぜそう言い切れるのか?
今回は、現役の左官職人としての視点と、最新のロボット工学のスペック(エビデンス)を照らし合わせ、「なぜ左官技術はAIにコピーできないのか」を論理的に解説します。
これは、単なる希望的観測ではありません。
物理的問題と感覚の問題です。
テスラ「Optimus(オプティマス)」の現状とスペック



敵を知らずして戦はできない。
まずは、テスラの最新ロボット「オプティマス」が、どれだけかしこく、強くなったかをチェックしよう。
今、一番新しい「Gen 3(第3世代)」は、以前のモデルの大きな弱点を克服し、人間と一緒に働くための準備を進めています,。
このGen 3が実現した「すごい進化」は主に3つです。
静かさ(まるで図書館!)
前のモデルは、ロボットが歩くときに普通の会話くらいの音(約65 dB)が出てしまい、うるさいと不満がありました。
Gen 3は、ロボットの部品(アクチュエーター)を新しく作り直したことで、動作音が約70%も小さくなりました。
•今では、歩いても静かな図書館(40 dB)くらいの音しか出ません,。
これなら、工場や病院、家の中でも、うるさい機械だと嫌がられる心配がなくなります。
スタミナ(一日中働ける!)
前のモデルは、充電なしで8〜10時間くらいしか働き続けられませんでした。
• Gen 3は、新しいバッテリーと、電力を賢く使うシステムのおかげで、連続15時間も稼働できるようになったんです。
• これは、休憩や充電のために作業を止めずに、人間と同じようにほぼ一日中働き続けられるという性能に進化しました。
賢さと連携
Gen 3は、テスラ独自の技術を使って、人間が作業する様子を動画などで見るだけで、その作業を覚えられるようになりました,。
特別な難しいプログラミングはほとんどいりません。
• さらに、外部の開発者が作ったアプリやシステムともつながるようになりました。
例えば、家のスマート家電や、工場の管理システムと連携できるようになります
Gen 3(第3世代)の性能まとめ
オプティマスGen 3は、生卵を割らずに持てるくらい繊細な触覚センサーを持った手や腕を備えており、人間に近い体型(身長約173cm、体重約60kg)を保っています。
テスラは、この高性能な人型ロボットを、将来的には約2万ドル(およそ300万円)という、従来の高性能ロボットよりもずっと安い価格で販売することを目指しています,。
正直な話、工場内での「部品を運ぶ」「ネジを留める」といった、決まった単純な作業に関しては、疲れを知らない分、すでに人間よりも優れた存在になりつつあります。



ところで、ヒューマノイド・アンドロイド・サイボーグの違いがよくわからないんだよなぁ💦



ヒューマノイドは、人間に似た形をしているロボットや生物の総称です。
アンドロイドは、人間と見分けがつかないほど人間に似たロボットです。
サイボーグは、生体と機械が融合した存在です。
オプティマスは。ヒューマノイドロボットに分類されます。
ロボットにとって「左官」が最難関である2つの科学的理由



左官の仕事が他の肉体労働と決定的に違う点。
それは、「相手が常に変化する不定形素材である」ということです。
①「ネタ」の変化に対応するフィードバックループ


ボット工学において、固形物(レンガや木材)を扱うのは簡単です。
形が変わらず、変化しないからです。
しかし、我々が扱うモルタル、補修材、漆喰、はどうでしょう?
- 気温20度と30度では乾きが違う。
- 下地の吸水具合によって、コテを引く重さが秒単位で変わる。
- 練り置きの時間によって粘度が変わる。
- 日当たりや風のあるなしで仕上がりが変わる、
- 時間による材料の変化(効果速度が変わる)
我々職人は、目だけで見て塗っているのではない。
コテを通して手首に伝わる「抵抗感(粘り)」を瞬時に感じ取り、無意識のうちに力加減とコテの角度をミリ単位で調整しているのです。
現在のOptimusの触覚センサーは「卵を割らない」レベルまでは到達しました。
しかし、「刻一刻と硬化していく泥の粘りに合わせて、瞬時に圧力を変えながら平滑を作る」という、超高速のフィードバックループは再現できていません💦
これは計算で出せる答えではなく、反射神経と経験則の領域だからです。
②「不陸(ふりく)」というカオスな下地





工場製品なら1ミリの狂いもない土台が用意されますが、
建築現場は違います。
下地は常に暴れている。数ミリの凹凸、予期せぬ段差。
これを平らに収めるために、職人は「どこにネタを厚く付け、どこを削ぐか」を3次元的に判断しながら手を動かす。
ロボットは「座標(X,Y,Z)」で動くのは得意だが、「なんとなく平らに見えるようにごまかす(調整する)」という、人間の目が持つ高度な錯覚補正能力は持っていない。
。



壁を塗る行為は、単純作業の繰り返しではありません。
一瞬一瞬が「判断」と「反射」の連続なのです。
ロボットに奪われる作業、残る聖域



とはいえ、すべての左官作業が安泰というわけではない。
将来的には、「ロボットに任せるべき仕事」と
「人間がやるべき仕事」のに分かれてくると思います。
きたるできAI時代の職人として生き残るためには、ロボットにできない仕事をできるようになっておくべきでしょう。
ロボットに奪われる(任せるべき)作業
まだまだ先にことになりますが、将来的には「重労働」かつ「単純」な作業は、
ロボットにやってもらう時代が来ると予想してます。



「重労働」かつ「単純」な作業をロボットにやってもらえれば腰痛や膝痛はへるでしょうね。
- 材料の運搬:
25kgのセメント袋や砂を運ぶ作業。Optimusが得意とする分野だ。 - カクハン(練り):
一定の配合比率で混ぜる作業は、機械の方が正確だ。 - 土間の粗均し(あらならし):
すでにコンクリートならしロボットは存在するが、
人型ロボットになれば段差を超えて入ってこれるようになるだろう。
人間にしかできない聖域(残る仕事)





図面通りにいかないのがリアルの現場仕事です💦
細かい収まりを臨機応変に調整して仕上げるには、
元請けや施主の判断を仰ぎながら仕事をこなす
調整力や説明力も必要になります。
- 仕上げ塗り:
漆喰や珪藻土のパターン付け、磨き仕上げ - 役物(やくもの):
コーナー、窓枠周り、アール(曲線)の処理 - リフォーム・補修:
狭い足場、複雑な形状、既存の壁に合わせた「色合わせ」や「肌合わせ」
他職の仕事と時間調整しながら作業する。
未来予測・左官職人の「シン・生存戦略」
コストや防水・防塵問題を考えると建設業へのロボットの参入はまだ先になるでしょう。
しかし、いずれはロボットも参入してくることは間違いないでしょう。
その時、我々はどう振る舞うべきでしょうか?
答えはシンプルです。
ロボットを「最強の弟子(手元)」にすればいい。
重くて辛い「運搬」や「練り」はロボットに任せ、人間は体力を温存する。
そして、その余った体力と集中力をすべて「仕上げの美しさ」に注ぎ込む。
かつて、手練りからミキサーに変わった時も、
手動ウインチから電動リフトに変わった時も、
左官は道具を進化させて生き残ってきた。
次は、その道具が「AIロボット」に変わるだけだとおやじは予想している。
合わせて読みたい記事




まとめ



左官はデジタル社会に残された「最後のフロンティア」かもしれません。
テスラOptimusは素晴らしい技術だ。
しかし、左官という仕事が持つ「自然素材との対話」や「指先の芸術」をコピーするには、まだ何十年もかかるだろう(あるいは永遠に無理かもしれない)。
- 単純作業はロボットへ。
- 高度な技能は人間へ。
この棲み分けが進むほど、「仕上げができる職人」の希少価値と単価は上がっていくと思う。
だからこそ、今、現場でコテを握っている若手職人たちへ伝えたい。
君たちが磨いているその感覚や経験値は、どんなスーパーコンピューターでも解析できないでしょう、
この人間だけの特別な【感覚】という「蓄積した経験値からの反射スキル」。
自信を持って、その腕を磨き続けてほしい。



鏝の当たる感覚を覚えるようにアドバイスされましたが、
不器用なおやじにはなかなか難しい課題でした💦










コメント