「古い砂壁、100均のリメイクシートやのり付きクッション材などでパパッと直せないかな?」
そう考える人、多いですよね。
確かに手軽です。パッと見は、キレイになります。
事実、それを動画にあげている方を見かけます。
でも、プロの左官屋として。ここはあえて、厳しいことを言わせてください。
その場しのぎの安価なDIY素材。
これ、数年後のあなたの家にズシンと重い「ツケ」を残す可能性があります。
今回はその話です。
なぜ「とりあえずの安物」が危ないのか。
そして、家の価値を長く守るには何を選ぶべきか。
現場で見てきたリアルな事実を、順番に、分かりやすく解説します。
1. 砂壁の「透湿性」を殺すことの恐ろしさ
日本の古い家。
とくに砂壁や土壁には、見た目以上の役割があります。
それが「透湿性」です。
湿気をスーッと通す力。これが、家を長持ちさせてきました。
ここで知っておいてほしい話があります。
それが「壁内結露」。
目に見えない、じわじわ進む怖さです。
多くの格安ペンキや、ビニール製のリメイクシート。
これを使うと、壁の表面がどうなるか。
プラスチックの膜で、ベタッと覆うのと同じ状態になります。
問題はその先です。
安い素材で表面を密閉すると、壁の中に入った湿気が逃げません。
行き場を失った湿気が、壁の内側にたまります。
条件がそろうと、どうなるか。
壁の中で「壁内結露」が発生します。
ジワッと水が出て、石膏ボードや木の下地を湿らせていきます。
気づいたときには、もう遅い。
これが、格安素材に潜む本当のリスクです。
条件が重なると、壁の内側で「壁内結露」が起きます。
壁の中で水分が生まれ、石膏ボードや木の下地をジワジワ湿らせていきます。
では、これが続くとどうなるのか。
表面はキレイなままです。
でも裏側では、カビがモワッと広がっていきます。
さらに進むと厄介です。
建物を支える骨組みまで傷み始めます。
最悪の場合、腐食の引き金になります。
怖いのは、すぐには気づけないことです。
5年、10年と時間がたった頃。
目に見えない場所から、修繕費という大きなツケがドンと回ってきます。
これが理由です。
おやじが、安易に壁を密閉する施工を強く危惧している理由です。
「壁内結露」という見えない恐怖


壁内結露とは、一言で言えば「壁の内部で結露がおこり、家を内側から壊してしまう現象」のことです。
壁内結露でおこる悪影響
- 家の寿命が縮む:
柱や土台を濡らして腐らせたり、シロアリを呼び寄せたりして、家そのものの強度を下げてしまいます - 光熱費が上がる:
断熱材が濡れると本来の機能を発揮できなくなるため、冷暖房の効率が悪くなります。 - 健康を害する:
内部で発生したカビが原因で、アレルギーや喘息を引き起こす恐れがあります。



健康面の効果が期待できるうえ、
調湿効果のあるからこそ、
漆喰や珪藻土は最近人気なのです。
壁内結露の防ぎ方
- 湿気をブロックして逃がす:
室内側に「防湿シート」を隙間なく貼って湿気の侵入を防ぎ、壁の中に入ってしまった湿気は「通気層」を作って外へ逃がすことが大切です。 - 適切な湿度管理:
季節ごとに湿度を調整して、結露をふせぐようにする。



これらを自然とおこなってくれるのが、
昔ながらの土壁や漆喰なのです。
ですから、左官屋としてビニールクロス貼りよりも漆喰や珪藻土を塗ることをおすすめします。
2. 【経験則】なぜ「安いDIY」はすぐにボロが出るのか



「見た目が持てばいい」と思うかもしれませんが、砂壁は下地として非常にデリケートな下地なのです。
① 100均シートの「剥離」問題
砂壁は、表面がポロポロ落ちやすい壁です。
そこに粘着力の強いシートを貼るとどうなるか。
「シートが剥がれる」のではありません。
「砂壁ごと、ベリッと剥がれ落ちる」。これが現実です。
そして、その後が大変です。
剥がれた壁には、糊と砂がベタベタ混ざります。
表面はガタガタ。とても素人では手に負えません。
結局どうなるか。
プロが直すことになります。
しかも、余計な下処理が必要になります。
つまりです。
手間が増えます。
その分、追加費用も増えます。
これが、砂壁に安易なシート貼りを勧められない理由です。



クッションシートやシールタイプのクロスもおなじです。
② 安価なパテの「収縮」問題
穴埋めに使われる安いパテ。
この中には、乾くと大きく痩せるものがあります。
その場では、平らに仕上がったように見えます。
でも安心できません。
数か月たつと、ピシッとひび割れが出てきます。
そこが始まりです。
割れたすき間から、剥がれがジワジワ広がっていきます。
だから覚えておいてください。
「急がば回れ」です。
下地処理をケチると、どうなるか。
結局いちばん高くつきます。
これが、現場で何度も見てきた現実です。
3. プロが実務経験から推奨する
「失敗しにくい本物」3選
では、初心者が自分で直すなら。
いったい、何を使えばいいのか。
ここが一番、気になりますよね。
そこで今回は。
私が現場の知識と経験をもとに、しっかり見極めました。
「これなら信頼できる」。そう言えるものだけです。
数は多くありません。
厳選したのは、たったの3つ。
遠回りせず、失敗しにくい。
そんな材料を、これから紹介します。
① 日本プラスター「うま〜くヌレール」
DIY用の漆喰といえば、これ。
定番ですが、やはり質は高いです。
プロの視点で見ると、理由ははっきりしています。
漆喰本来の調湿性を、きちんと備えています。
それだけではありません。
DIY向けに、下地への密着力がかなり高くなるよう設計されています。
それでも、下地の脆弱部が多ければはがれる可能性はあります。
脆弱部や剥離がおきている場所は、霧吹きで壁を湿らせた後、スクレーパーなどで剥がしましょう。
カビが発生している時は、必ずカビ取り剤で除去しましょう。
そして、乾燥させてから塗りましょう。
その基本さえ守れば、ペリッと剥がれる心配はほとんどありません。
初心者でも扱いやすい。
それでいて、仕上がりも長持ち。
信頼できる材料です。



左官の基本ですが、コテ圧をかけずに厚塗りをしてはいけません。
最初は、力を入れて薄くぬりましょう。
その後の、フラットにするように塗るイメージで仕上げましょう。


漆喰うま~くヌレールの公式ページでは、かなり細かくわかりやすい説明をしてます。
② フジワラ化学「珪藻土壁材MIX」
本気で、家の空気を変えたいなら。
選ぶべきは、これです。
プロの目で見ると、理由は明確です。
自然素材の含有率がとても高い。
だから、湿気を吸って、吐く力が段違いです。
壁をギュッと密閉しません。
家が、ちゃんと呼吸できます。
「とりあえずキレイにする」ための材料ではありません。
家を、長く健やかに保つための素材です。
その点で言えば。
信頼性は、トップクラスです。
塗ることの出来る下地として、和風壁(砂壁、せんい壁、じゅらく壁)、合板、中塗土、石こうボード、しっくい、ビニール壁紙、コンクリート、モルタルなど多くの下地の上に塗れることもメリットと言えるでしょう。



石こうボード以外の施工はアクドメール(下地調整材)を下塗りし、乾燥させてから施工してください。



珪藻土は、衝撃には強くないので接触が多い場所にはお勧めしません。
③ アサヒペン「せんい壁砂壁おさえ」


素材を塗る前に。
「これだけは、絶対に買ってください」と言いたいものがあります。
それが、この下地調整材(プライマー)です。
プロの視点で言います。
これは、砂壁を内側からガチッと固めるためのものです。



下地調整材(プライマー)を塗る前に、剝離部分や脆弱部・カビなどは必ず除去しましょう。
水で濡らしてスクレーパーで削ると確実です。
この工程を飛ばすのは危険です。
言ってしまえば、泥沼の上に城を建てるようなもの。
逆に言えば、下地処理して
これを一度塗るだけで、結果は一変します。
上塗りの持ちが、驚くほど良くなります。
地味ですが。
ここが、仕上がりを分ける一番のポイントです。



砂壁は、乾燥していると漆喰もすぐに硬くなって塗りずらいです。
また、急乾燥は剥離(はがれ)の原因にもなります。
4. 結局、何にお金を使うのが一番「賢い」のか?
ここで一度。
少し長い目で、計算してみてください。
まずは、格安DIYの場合。
材料費は、数千円。
一見お得に見えます。
でも現実は違います。
数年で剥がれる。
もしくは、壁の中でカビが発生します。
結果どうなるか。
結局、プロに頼むことになります。
修繕費は、数十万円。
次に、本物のDIYです。
材料費は、数万円。
正しい手順で仕上げます。
そうすれば。
10年以上持つ可能性があります。
空気も、ずっと快適です。
※耐久性は環境によります。
家は、一生の資産です。
目先の数千円を惜しんで。
家の健康寿命を縮める。
正直、それはもったいないと思いませんか。
まとめ:勇気ある「本物選び」を。
DIYは、自由です。
だからこそ、選び方が大事になります。
自分の家を大切に思うなら。
表面の化粧よりも、下地と素材の質。
ここを、いちばんに考えてください。
正直に言います。
本物の素材は、少し高いです。
塗るときも、ちょっとしたコツがいります。
でも、その先があります。
手間をかけた先にしか出せないものです。
格安シートでは、まず無理です。
本物の質感。
そして、長く続く安心感。
もし、壁の状態を見て不安になったら。
遠慮はいりません。
コメント欄で、気軽に相談してください。
できるかぎりの、アドバイスします。










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